ニュースの概要
首都高速道路は10月13日夜から翌朝にかけて、都心部の複数地点で工事と点検のための通行規制を行う。西新宿JCTでは4号新宿線と中央環状線を結ぶランプなどが20時から翌朝5時まで止まり、区画線の補修と舗装の補修が進められる。箱崎JCTでは6号向島線の下りから9号深川線の下り右ルートへの接続が21時から翌朝5時まで閉じられ、構造物の点検が行われる。このほか湾岸線の葛西入口ではETC専用化に関する案内も出ている。いずれも交通量が減る夜間を選んだ作業であり、日常的な維持管理が止まらず続いていることを示す内容だ。
引用元: 首都高で西新宿JCTと箱崎JCTの夜間通行止めを実施(首都高速道路株式会社)
分析・見解
夜の数時間で終える、都市高速の維持管理
首都高は1962年に最初の区間が開通した。東京五輪に合わせて急いで造られた区間も多く、築50年を超える構造物が数多く残る。今回のような区画線の補修、舗装の補修、構造物の点検は、派手さはないが路線を使い続けるための基本作業だ。昼間は交通量が多く、作業員の安全も確保しにくい。そのため、車が減る夜間に区間を止めて一気に進める方式が定着している。
たとえば舗装は、大型車の通行が多い路線ほど数年単位で傷みが進む。放置すると轍(わだち=タイヤの跡でできる溝)が深くなり、雨の日の水はねや車線のぶれにつながる。
合流と分岐が集まるJCTは、傷みやすく規制も多い
西新宿JCTや箱崎JCTは、路線同士をつなぐ要所である。ここでは車が合流し、分かれ、車線を変える動きが集中する。路面は傷みやすく、白線も消えやすい。区画線は小さな設備に見えるが、夜間や雨天に車線を読み取る頼りになる。かすれた白線は、分岐での急な進路変更や接触事故の一因になり得る。だから補修の優先度は高い。
また、ランプは曲線が急で見通しも限られる。こうした場所の作業は、手順を絞って短時間に終える必要がある。
点検と補修を同じ夜にまとめるほうが負担は小さい
箱崎JCTの規制は点検が目的だ。点検は橋の裏側や継ぎ目などを近くで見る作業で、車線を空けないと足場や高所作業車を置けない。点検で見つかった傷みを後日補修する流れを考えれば、規制を一度にまとめるほど利用者への影響は小さくなる。海外でも、ロンドンやニューヨークの高速道路では週末や夜間の全面閉鎖に作業を集める例がある。日本は夜間閉鎖を細かく分けて回すのが特徴で、1回あたりの影響は小さいが回数は多い。
夜間の規制は、翌朝5時という終了時刻が厳密に守られる点も重要だ。朝の通勤交通が始まる前に、元の状態へ戻す段取りが求められる。
規制の予告を、日々の運行計画に組み込む時代へ
ETC専用化の案内は、料金所の運営人員を減らし、入口の処理を速める流れの一部と読める。規制情報とあわせて、道路は「止まる時間」と「使い方の変更」を事前に公開し、利用者が自分で計画に織り込む前提へ移っている。ここで差がつくのは、情報を見る習慣の有無だ。同じ夜の規制でも、知っていれば迂回で済み、知らなければ到着が1時間遅れることもある。
最近はナビやアプリも規制を反映するが、反映の遅れや、規制の細かい接続条件までは拾えないことがある。独自の視点として、規制は「突発の障害」ではなく「予定された停止」だと捉え直すと、対策は運行表の設計そのものに変わる。
ビジネスへの影響
規制日を起点に、夜間配送の運行表を作り直す
今回のような規制は、公式サイトで事前に確認できる。物流会社なら、配車担当が週の初めに規制一覧を見て、通る予定の路線と照らし合わせる運用を決めておくとよい。ポイントは、止まるのが全面ではなく、特定のランプや接続である点だ。たとえば西新宿JCTの接続が閉じても、別の経路が使えることは多い。迂回路を事前に二つ用意し、所要時間を実測して表にしておけば、当日の判断が速くなる。深夜の納品先には、到着が30分から1時間ずれる可能性を伝えておくことも欠かせない。
規制日を迂回路の予行演習に使う
規制は、災害で道路が使えなくなったときの予行演習にもなる。決まった時間に特定のルートが使えない状況は、小さな災害と同じ構造だからだ。そこで、規制日に迂回路を実際に走らせ、時間と費用の増加分を記録しておく。結果は、事業継続計画(BCP=非常時でも事業を続けるための準備)の数字として使える。毎月の規制を訓練に変えれば、追加費用なしで現実的なデータが貯まる。
遅れの費用を集計して、経営層に示す
規制による遅れは、燃料費や残業代として見えにくく積み上がる。月ごとの遅延回数と追加時間を集計し、迂回に要した費用を示すと、経営層も対策の価値を判断しやすい。情報収集の担当を決める、数分の確認作業を日課にする、といった小さな投資で十分に効果が出る。ETC専用化が進む入口については、ETCカードの有効期限や車載器の搭載状況も、全車両で点検しておきたい。
